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関取

ある日の開店時間直前のこと。

カウンターで店の準備をしていると、玄関先で物音がして、扉の前に大きな人影が目に入りました。

 

その人物は、不自然なカツラをかぶっていて、すぐに店内に入らず、入口で何やら呟きながら腰をかがめ、広げた左右の手のひらを突き出して、交互に前後に動かしている……。

(うわーっ、ヤバイヤバイヤバイ! なんかヘンな人来た!)

瞬間的に店長は思いました。

 

1人で店をやっていると、たまにチョッピリ風変りな方がやってくることもあります。

警戒心は常に抱いているのですが、この日の訪問者は明らかに挙動が不審で、しかもうつむいているため、顔もよく見えません。

店長が、非常用に携帯電話を確保しようとしたとき、

「どすこい! どすこい!」

と呟きながら、扉を開けて店内に入って来た不審者。

その全貌が明らかになったわけですが……。

 

 

ちょんまげのカツラに関取の肉襦袢を着込んだ、隣に住む義兄です……。

羽織っているのは、急きょ実家から送ってもらったという羽織(この日は着ていないけれども浴衣も送ってもらったそう)。

なんでも、職場で催される節分の豆まき行事に、このいでたちで盛り上げるそうで。

 

そういえば、義兄は昨年の職場の忘年会では、一人一芸でマイケルジャクソンを披露したんだっけ。

職場で「一人一芸」が慣例だなんて、店長だったら転職を検討する第一理由になりそうですが、義兄にとっては違うらしい。

あの時も、クルクルパーマのカツラに黒ハット、サングラスと高い付鼻、白手袋を着用の上café中寿美に登場し、気合の入った練習の成果を見せてくれた義兄。

義兄マイケルは、「どうも、マイケルジャクソンです」と店内に入ってくるなり、自分で編集したCDを「これかけて」と差し出し、『Beat it』に乗せて、一切照れることなく最後まで微妙な(でもヘタではない)ダンスを披露してくれました。

店長たちが呆気にとられる中、終始一貫して完全にマイケルになりきるその姿に、感動すら覚えました。

常人であれば、周囲の反応を気にして、どこかに「照れ」が出てしまうもの。ところが義兄にはそれが一切ない。

場の空気を感じ取らない、読まない、気にしない、というのは、ある種の才能です。

実際、本番では職場の半分以上の人が、最後まで義兄だと気づかず、中には余興に特別に呼ばれた芸人さんだと思った人もいたそう。すごい。

このブログに書くのも、写真も顔出しOKというから、本当にすごい。

 

普段の、真面目で優しく静かな義兄からは、想像できなかった一面。

人って本当に面白いです。

これからも、義兄のパフォーマンスに大いに期待する店長です。

 

 

author:中寿美, category:, 06:43
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Tさん

飯綱高原に住み始めてから、店長が大変お世話になっているご近所のお客様、Tさん。
中寿美オープン以来の常連様で、店長の母世代の大先輩ですが、なんだか親しい友人のような気になっている店長。
このTさん、見とれるほどの美女なのに、ちょっぴり抜けてるところがあってすごくお茶目なんです。

ある日の、Tさんが来店されて帰った、しばらく後のこと。

店長、店のレジの脇にいつも置いている自分のケータイがないのに気づき、家の中、バッグの中、車の中、大慌てで探していました。
店の固定電話から自分のケータイを鳴らしましたが、着信音はどこからも聞こえず。
「あー、どこかに置いて来ちゃったんだなあ……」と、自分の行動履歴をフルスピードで思い出していたところ、突然手に持っていたコードレス電話が鳴りました。
出ると、受話器からは、さっきお帰りになったTさんの声。

「フミコさん(店長の名前)、もしかしてケータイなくした?」

その言葉に、店長ビックリ。
なんで知ってるの?! 
オロオロ探している店長のこと、どこかで見てる? 

なぜわかるの? 
そう思った店長ですが、続けてTさんは言いました。

「あのね、今、うちにね、私のケータイじゃないケータイがあって、鳴ってたの。

 そしたら、その鳴ってるケータイの画面に『中寿美』って出てたのよ……。

 私、もしかして持って来ちゃったのかしら……」

……。
Tさん、さきほどレジでお金を払う際、脇に置いてあった店長のケータイを、自分のケータイだと思って持って帰ってしまったのです。
「いつもケータイを忘れるから、目に入ったとたんについ『しっかり持って帰らなくちゃ』と思ってしまった」らしいです。
スゴイ。
でもさらにスゴイのは、Tさんと店長のケータイ、形も色も違うんです……。


さらにある日。
映画好きなTさんと、映画の話になった時のことです。

Tさん:「私、あの映画は可哀想でたまらなかったわ。

   子供のロボットの話で、上手な子役の男の子がやっていた、

   ほら、あの映画、なんて言ったかしら……」

店長:「ああ、『A.I』ですか?」

Tさん:「そうそう! 

   どうしてあんな可哀想な映画作るのかしら。

   ホントもう、たまらなかったわ。

   その……

   『I.T』でしたっけ?」

店長:「……。いや、『A.I』です」

Tさん:「ああ、そうそう。

   ホントに切なかったわ。

   もう二度と見られないわ、あんな可哀想な映画。

   その……

   えーっと………『E.T』?」
 

『A.I』!!

『A.I』だよ!!

もはやいずれのアルファベットもかぶってないけど、監督は同じってところが奇跡的。


わざとじゃない。天然なのです。

料理、園芸、除雪に草刈り、力仕事まで、なんでもバッチリこなすスーパー主婦のTさん。
おまけに美人ときたら、ちょっと笑えるエピソードでもなかったら近づきがたくていけません。
これからも、楽しい天然っぷりを期待しております!

 

(Tさんの許可を得てUPしております)




 

author:中寿美, category:, 08:10
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とにかく明るい家族
大学時代の友人が、たびたび一家揃って遊びに来ます。
彼女には小学生5年の長男を筆頭に子供が3人いて、ある日母親である友人が、長男に向かって言いました。

「ほら、アレ、見せるんでしょう? 早くやりなよ」

何? 何? 
とっても気になる店長と夫。

「いや……、でも……」と、妙にモジモジし出す長男くん。
「何言ってんの、今日はアレ見せるために来たようなものなんだから!」と、母親に急かされる長男。
弟と妹も、「やって、やって!」と囃し立てる。

すると、意を決したように立ち上がり、物陰に隠れて何やらゴソゴソと準備し出す長男。
「ホントに、すごく上手いんだよ」と嬉しそうに話す母親である友人N。

しばらくして、突然店長たちの目の前に走り出た彼は、なんとパンツ一丁。
幼児の頃はガリガリで、妻夫木聡似の美少年だった長男ですが、今では少しぷっくりとして、パンツ一丁で胸を張って立つ姿は、眉毛のキリッとした金太郎といった風情。
舞台に躍り出た彼は、その場で手際よくお尻にTバック状にパンツを食い込ませ、弟と妹に向かって、「音楽(カモン)!」と指示を出します。

あ! 「とにかく明るい安村」ですか?!
弟と妹が口ずさむ音楽に合わせ、ポーズ名を高らかに宣言したのち、腕や足や腹の肉にパンツが隠れて全裸に見えるポーズを、次から次へと決めて見せる長男。

すすすすごい! ホントに全裸に見えるよ! しかも動きがキレッキレ!
数年前は妻夫木だった長男くん、もう「とにかく明るい安村」にしか見えない!

ゲラゲラと大笑いしながら、大喝采を浴びせる店長たち。
一瞬、「裸の子供を前に大の大人達が手を叩いて笑う光景=虐待?」という考えが頭をよぎります。
でも、ポーズを決める長男の表情は輝きに満ち、さっきまでモジモジしていた男の子とは思えない堂々たる姿。
そして、すべてのポーズを終えた長男、「やり切った!」という表情でササーッと舞台袖にはけていく。

服を着て戻った長男に対する、「いや、最高!」「すごいよ!」「お腹痛いくらい笑った」という店長たちの称賛の声を聞いた小1の妹が、「アタシも、できるポーズある!」と、すぐにでも服を脱ごうとします。
すると、「アンタはやらなくていいから!」と、即、止めに入る母親。
さすがにね、女の子だしね。うんうん。

それにしても、人前に出る才能をすでに持っている長男、素晴らしい。
学校でも、意見を発表するのはとても上手いらしいです。そうだろうなあ。
やるとなったら腹を決めて、人を喜ばせるべく潔く堂々とこなす肝っ玉の太さ。
しかも、店長が「ブログに書いていい?」と聞くと、「ああそれなら、写真撮っておけばよかったね!」と答える大物っぷり。
そして母親によると、完璧に全裸に見えるポージングを、すごく研究して練習していたらしいのだ。
いやー、将来有望だわー。

そういえば、母親であるNも、大学時代はカラオケで沸かせていたなあ。
中森明菜の「DESIRE」を、中森明菜ばりの美声で、中森明菜ばりの完璧な振り付きで歌い、大いに盛り上げていたっけ。合コンで。
「それなのに」というか、「それだから」なのか、合コンで相手は見つからなかったけれど、今はこうして明るい家族を築いたN。
良かったね!
本当に良かったよ。

同じく合コンで相手が見つからなかった店長も、そんな「とにかく明るい家族」と一緒に今、お腹を抱えて笑えることを、大変幸せに思います。
 
author:中寿美, category:, 10:31
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アキコさんに会いに行く!

昨年の4月、福島県いわき市から一時避難で中寿美に1ヶ月滞在していたアキコさん。
(詳しくは2011年4月5月のブログを参照)
そのアキコさんに会いに、いわき市へ行ってきました!

片道約400キロ。
アキコさん、こんなに長い道のりを、1年前に一人でやってきたんだなあ……。
地図とにらめっこをしながら辿り着いたアキコさんのお宅は、絵に描いたようなニッポンの田園風景の中にありました。
大きな大きな古い家が数軒、山を背負って並び、その前には緩いカーブを描く一本道。街灯はありません。
目の前には田んぼと牧場と小川と山。
そこへ辿り着くまでかなりの距離、信号はありませんでした……。



一番端のこじんまりとした新しいお家の前で、アキコさんが変わらぬ温かい笑顔で出迎えてくれます。
聞けば、数軒集まっている大きな古いお屋敷は、みーんなアキコさんのご実家。
母屋があって、離れがあって、納屋があり、お風呂は外に別棟です。
高い天井、広い玄関と日当たりの良い縁側……昔ながらの農家の立派なつくり。
綺麗に整えられた庭木や石垣、小道で、本家から分かれたそれぞれの家が繋がっています。
まさに日本の原風景。

お昼に、さっそくアキコさんの打ち立てのお蕎麦をいただきました。
これを楽しみに車を飛ばしてきたのです。
アキコさん、地元の蕎麦打ち研究会に所属。蕎麦にうるさい信州人も絶賛の味なのだ。
お蕎麦に舌鼓を打っていると、本家に暮らすアキコさんのお姉さん夫婦がやってきました。
一緒にお茶を飲みながら、いろんな話に花が咲きます。

夜も、アキコさんの手料理の数々と持参したワインでカンパーイ。
そのうち、本家のアキコさんの甥御さんも、一升瓶を持って登場。
おいしい料理とお酒で、いわきの夜は更けていきます。

アキコさんの実家の皆さんは、アキコさんと同じように優しくて温かくていい人達でした。
みんなニコニコしながら、代わる代わる訪れて、静かに、穏やかな福島弁で話します。

絵に描いたような日本の田舎に、絵に描いたような純朴な人たちが、いわきで暮らしています。
東北には、そんな場所がきっとたくさんあるのです。
お年寄りから子供まで一家総出で作ったお米や野菜を食べ、井戸水を使い、みんなで集まって暮らしてきました。
必要最小限のエネルギーを使って、周りに迷惑をかけず、全国においしいお米や野菜を届けてきたのです。
その人たちが、今、とても困った状況に置かれてしまいました。

便利で自由な生活にどっぷり浸かってきた自分に、これから何ができるか。
考えながら帰途につく福島の旅でした。



 

いわきの春。




author:中寿美, category:, 20:06
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わらしべ長者

先日、すぐ近くのバス停「飯綱登山口」で、バスを降りて来店してくださったお客様がいらっしゃいました。
cafe中寿美のご近所にある宿泊施設へ向かう途中とのこと。
たくさんの荷物を持っていらして、それは宿泊場所で調理ができるため、持参された野菜のようです。

珈琲をお出ししながらお話をしていると、そのお客様がつぶやきました。

「あー、ショウガを買ってくるのを忘れちゃったわ……」

ショウガが大好きで、炒め物にも紅茶にも入れる必需品らしいのです。
店長、「そういえば……」と思い出して、冷蔵庫の中を探してみたら、ありました、野菜室の底で忘れ去られたしなびかけたショウガ。
ギリギリまだ使えそう……と、余り物で申し訳なかったのですが、おそるおそる差し上げたところ、お礼に密封パックに入った粗塩をくださいました。
なんとそのお客様、沖縄の与那国からいらした方だったのです。
与那国で、美味しい塩の作り方、味にこだわって、自分たちで作った塩とのこと。

そして、その味が、めちゃくちゃ素晴らしかったのです!
普通の塩のようなキツさがまったくなくて、じわ〜っとまろやかな美味しさ。
その塩だけでお酒のお供になるくらいの味です。
塩ってこんなに美味しいの?!
おにぎりも、パスタも、なんかグッと来る味になります。

感動のそのお塩は、与那国の「黒潮源流塩」。
詳しくはコチラ→http://www.yonaguni-kaien.com/


余り物のショウガで、すごくいいものを貰ってしまいました。ありがとうございます
わらしべ長者になった気分の店長でした。

author:中寿美, category:, 22:28
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スッキリしました

今年の夏を過ぎた頃、中寿美裏の、少し傾いた大きなアカマツの根元に、ポッカリ穴があいているのを発見しました。
穴の中はクズクズと粉状になっています……
その木の傾きの方向に、バッチリ中寿美が建っているのを確認し、恐れおののいて業者の方に相談。
建物や、周辺道路に倒れる危険のある木の伐採をお願いすることにしました。

秋も深まった先日、ヘルメットをかぶった業者さんがやってきました。
木の根元に切り込みを入れて、くさびを入れる人、チェンソーで切る人、重機を操作する人、それぞれの役割を分担しながら、手際よく無駄なく動きます。
キビキビと作業する男衆は、身のこなしが様になっていて、ヘルメットも作業着も、どうしてあんなに似合うのか。
大きな重機をガンダムみたいに操って、器用に、丁寧に現場を美しく整えます。

ときおり作業を中断し、天を仰いで立ちつくしているかと思うと、空間に手を上下させ、倒す方向を見定めているのだとわかります。
その仕草のカッコイイこと!
ゴルフの芝目を読む仕草が滑稽に思えます。

お茶を出しながら、つい、「カッコイイですね〜」と声をかけてしまう店長。
すると、業者の方が控えめに言いました。

「いやー危険なんで、真剣です」

ハッ……そうでした。
大きな大きな太い木を、狭い空間を使って、他の木や建物を傷つけないよう、細心の注意を払って行う仕事です。
ミスったら大事故。大けが、またはそれ以上。

ヘルメットをかぶって仕事をする人がカッコイイのは、真剣勝負をしているから。
危険を背負って、自分の腕を信じて働く人は美しいです。
ただヘルメットをかぶっていれば、それでカッコイイわけじゃないのです。
危ないお仕事を、どうもありがとうございました。

伐採したおかげで、ずいぶん陽の光が入るようになり、周辺が明るくなりました。
それでも、店長よりも何十年も長くこの地に立っていた大木を切る時は、やっぱり申し訳なく感じます。
今まで見守ってくれてありがとう、と、切ってしまう木にも思いました。


伐採前と伐採後、違いがわかりますでしょうか。
わかりにくいと思う方、現地確認がてらご来店ください

伐採前→ 
                        
伐採後→ 




author:中寿美, category:, 11:20
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本日のお客様 1

昨年の夏、中寿美敷地にオオスズメバチの巣ができて、その駆除をお願いしてから、ずっと来店してくださっているKさん。

七夕の日の夕方も来店してくださいました。
そして、一言。

「今日は七夕だから顔を見に寄ったんだよ。そういう心配りが大事なんだよ。わかる?」

ありがとうございます。
でも、Kさん、ほぼ毎日ご来店してくださっています。
その日はたしかに七夕ですが、前日も前々日も来てくださいました。
いや、本当にありがたいです。


スズメバチの巣をこれから駆除に行く、というKさん。
「大変ですね。気をつけて」と店長が声をかけると、
「この時期の蜂の巣なんて、オレにしてみりゃ鼻クソみたいなもんよ」とのこと。

Kさん:「中寿美さんなんて、蜂の巣コワイんでしょ? 刺されたら嫌だって逃げ出しちゃうんでしょ?」
店長:「そーですねー」
Kさん:「それだからダメなのよ。心臓が弱いんだね。精神も弱いね」
店長:「そーかもしれません」
Kさん:「だけど、お墓にできた蜂の巣取るのは良い気持ちしないね」
店長:「罰が当たったら嫌だとか?」
Kさん:「違うよ、お骨があるじゃん。人間の骨があるってのはコワイ気がするね。しない?」
店長:「骨はそれほど怖くない気がします」
Kさん:「そりゃあ、大したもんだー」

……ありがとうございます。
Kさんと店長は、なんかズレているんでしょうか。


「人生、夢がないとダメだ」、というKさん。

Kさん:「中寿美さんは、何か夢持ってる?」
店長:「いやー、とくに。今の幸せがずっと続けばいいなあ、と思ってます」
Kさん:「そんな小さいの、夢って言わないよ。もっと大きなちゃんとした夢持たないと。
     神社にお願いするときはなんか願うでしょ?」
店長:「世界平和ですかね」
Kさん:「そんなに大きく出たらダメ。だいたいホントに願ってんの?」
店長:「じゃあ、Kさんの夢は何ですか?」
Kさん:「オレか? オレの夢はねえ、今は錦鯉飼いたいね!」

それって、大きいの? 小さいの?


cafe中寿美、こんな会話で日々過ごしております。



author:中寿美, category:, 15:09
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ちびっこ取材班

先日、cafe中寿美は取材を受けました。
記者は2人の小学生。
飯綱高原に住む2人の女の子が、夕方取材に訪れました。
学校で、パンフレットを作ることになり、そこへ中寿美を載せてくれるらしいのです。
2人のうち1人は中寿美のご近所さんで、オープン以来のお客様です。
以前、中寿美の新メニュー案も考えてくれました。


かわいい2人の記者さんは、店名の由来や、おすすめメニューなど、緊張する様子もなく慣れた感じで取材を始めました。
主に、この日初めて訪れた女の子の方が質問してメモります。
店長がメニューを説明するたびに、顔なじみのご近所の方の女の子が、
「すごく美味しいんだよ!」
「ホントに美味しいから!」
「食べに来ればいいよ!」
と、メモをするもう1人に何度もプッシュしてくれます ありがとうね〜!
まるで中寿美宣伝担当者です。


この日、中寿美の後に、飯綱高原にあるもう2軒のお店の取材が控えていたようです。
なかなかハードスケジュールの取材班。
同じ飯綱高原といっても範囲は広いです。移動はバスとお母さんの車。

「次に行くお店は、うちとシンミョウな関係なんです」

記者の1人が言いました。

店長:「……神妙な関係?」
記者さん:「あ、シンミョウじゃなかったっけ? うちと知り合いなんです」
店長:「えーと、親密かな?」
記者さん:「あ!そうそう、うちとシンミツな関係なんです」

『親密な関係』も微妙に違うような気もする店長ですが、まあ、いいか。
こどもの世界にオトナの事情は関係ない。


取材が終わって、お迎えの車を待つ15分くらいの間に、2人の記者さんは中寿美のためにまた新メニュー案をいくつも考えてくれました。
次から次へと浮かぶ子供たちのアイデアには驚かされます。
実現するための店長の腕が追いつくかどうか。
あとは、コストやら手間やら、ここにもオトナの事情があるんだなあ。

パンフレットの完成予定を聞いたところ、なんと取材日の5日後。早い!
こどもの世界はオトナの事情がないから、仕事が早くてシンプル。

ちびっこ取材班、きちんと挨拶して目的を簡潔に話し、聞くべきことをしっかり聞きながらも冗談も言って笑い、お礼を言って、さらっと去る。
素晴らしいじゃないですか。
店長が小学生の頃、こんな堂々とした取材はとてもできなかったなあ。
いや、オトナになってもできなかったなあ……(店長、出版社勤務暦あり)


この子たちが、今の複雑怪奇なオトナの世界に染まることなく成長して、シンプルで豊かな未来を作ってくれたらいいなあ、と思いました。



author:中寿美, category:, 12:42
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1ヶ月滞在していたアキコさんが帰ってしまって、すっかりボンヤリしてしまう店長。

朝起きても、隣にアキコさんはいません。
1人での食事はあっという間に終わります。
いろんなことを、すっかりアキコさんにお任せ状態でお世話になっていた1ヶ月。一人に戻ってやることは増えたはずなのに、ボーッとする時間がやたらに多いのです。

アキコさんが飯綱を発つ朝まで、アキコさんと店長は、改まって二人でお別れの挨拶をしませんでした。
そんなことをしたら、店長は号泣するに決まっています。それでなくても、数日前から「もうすぐお別れ」と思うだけで密かに涙していました。
いよいよ出発、という頃に、ご近所の皆さんがお見送りに集まってくださいました。
他のみんなもいてくれたおかげで、店長は普段と変わらずに見送ることができました。

でも、アキコさんが車に乗り込んでしまったあたりから、涙があふれてきました。
今生の別れでもないのに、涙はなかなか止まりません。
「ウルルン滞在記」とか、「田舎へ泊まろう」で出演者が流す涙はホンモノなんだなあ。
またアキコさんが、いつもその辺に出かけてくるのと変わらない笑顔で、「ちょっと行ってきます」風に去っていくのが、余計に涙をあおりました。
店長、涙をぬぐいながら、「そうだよなあ、アキコさん、初孫が生まれる娘のもとへ、すぐにロシアへ向かうんだもんなあ、……」と、走り去るアキコさんの車を見つめました。

でも、しばらくして道中のアキコさんからメールが届きました。
「ちゃんと挨拶しなくてごめんね。ありがとう、と言うと、泣けてきて運転ができなくなる。本当にありがとう」という内容でした。
その後も、何度も途中のSAの休憩のたびに、メールをくださいました。
店長、その度に涙、涙……。
お客様がいるのに、隠れて泣いては目を赤くしていました。

店長、鮭の遡上シーンの映像を見ただけでも泣いてしまう涙もろさ。
でも、泣くのは悲しいからではありません。
アキコさんと過ごした1ヶ月間、その日々を思い出し、そのすばらしさに感謝する涙なのです。
鮭の遡上シーンだって、鮭が可哀想で泣くのではありません。命をかけて子孫を残そうと、ボロボロになって川を上る、そのひたむきさに感動する涙なのです。

アキコさんだけでなく、誰とでもいつかは必ずお別れする日が来ます。
誰に対しても同じように、出会えたこと、人生の一瞬を共有できたこと、わかりあえたことを、感謝する涙を流せるように生きて行けたらいいな、と思います。










author:中寿美, category:, 10:37
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アキコさん、帰る
いよいよ、アキコさんとの生活も最後の日となりました。
4月21日に、約500キロの距離をいわき市から車でやってきたアキコさん。
5月22日朝、いったんいわき市に戻り、それから6月に出産を控えたロシアに暮らす娘さんの所へ出発します。

約1ヶ月前、一度も会ったことのなかったアキコさんに、一時避難のお願いの電話を受け、何か力になれればと思って始まった今回の2人暮らし。
当初は、自分が誰かの力になれる、助けてあげられるという、ちょっぴりいい気分になっていた店長。
実際は、アキコさんに助けられることばかりで、恥ずかしくなりました。

アキコさんとの毎日は本当に楽しくて、アキコさんも楽しそうにしてくれるから、被災地から避難してきているということを、つい忘れてしまう店長でした。
でも、原発の問題は解決されないままで、アキコさんは、恐らくいろんな不安や悩みを抱えて、いわき市に帰っていくのです。
それでも、
「私は一番幸せな避難者だ」
と言っては、店長を喜ばせてくれました。
店長こそ、一番幸せな避難者受け入れ先です。

そして、中寿美をとりまくご近所の方々、お客様の皆さんが、本当に暖かくアキコさんを迎え、支えてくださいました。
食事に招いてくれたり、差し入れやおみやげをくださったり。
山菜採りやお花見、陶芸の窯見学などに、アキコさんを誘って連れ出してくださいました。
アキコさんは、もうずっと前から中寿美で暮らしていたかのようです。
毎日スケジュールいっぱいの大忙しでした。

「ただいま」と言うと、「おかえりー」と言い合う、つかの間の日々も終わりです。
寂しいです
でも、素晴らしい1ヶ月を、どうもありがとう。

ただ一つ、どうしても気になるのは、アキコさんがすっかり綺麗に草取りしてくれた中寿美テラス、いまだかつてない美しさですが、今後店長一人でどれだけこれを保てるか……。
アキコさーん、ぜひまた来てね



author:中寿美, category:, 11:09
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