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老化現象?

最近、珈琲などの水分摂取時に、咳き込むことが増えました。

気管に入ってしまって、むせるんです。

若い頃は、多少むせてもグッと堪えて大参事を免れることができたのですが、今ではそれが不可能に。

 

そしてそれはほとんどの場合、朝起こります。

自宅のキッチンで、夫と珈琲を飲んで会話をしている時に頻発。

この間も、いつものように料理をしながら、夫の話に耳を傾け、それに対してコメントをしようとした瞬間に、飲んでいた珈琲が気管に入り、「ウッ!」と思った時にはすでに遅し。

 

味噌汁に入れる直前のまな板の小松菜の上に、ちぎったキャベツの上に、スタンバイ中の茶碗の上に、そして調理台に、広範囲にわたって降りかかる店長から噴出された珈琲……。

はじめの頃は「うわー!! 汚ねーなー!」と悲鳴を上げた夫も、近ごろでは驚きもせず、激しく咳き込む店長の横で、粛々と調理台を拭いて、憐れむような視線を店長に浴びせながら小松菜を洗っていたりします。

「汚い汚いッ!」と罵られるのも辛いけど、無言で後片付けをされるのも、なんだか切ない……。

 

老化現象でしょうか?

老化現象でしょうね。

老化現象でしょうよ。

 

でも不思議なのは、一人で珈琲を飲んでいる時や、座ってゆっくり食事をしている時には発生しないんです。

毎回決まって朝、料理をしながら珈琲を飲んで話している時です。

 

そこで店長、これは「一度にいろいろやりすぎ」が原因ではないかと考えました。

朝の店長はバタバタしています。

お湯を沸かし、弁当のおかずを詰め、朝食のみそ汁を作りながら卵を焼いて珈琲を飲み、そして夫と会話をしている。

一度に多くの処理を体と脳が要求されて、嚥下機能がおろそかになるのではないだろうか?

きっとそうだ。

いろいろやりながら、考えて、さらに喋ろうとしているせいに違いない。

 

だけど、これまで普通にこなせていたことに支障が出るということは、やっぱり老化現象なんでしょうねぇ。

何か一つ、行動を減らせばいいのかも。

とりあえず、口数を減らしてみようと考える店長です。

 

 

 

author:中寿美, category:店長のひとりごと, 10:17
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もう一つの人生

夢を見ました。

 

夢の中の店長は、実家に暮らして仕事は教師という設定。

学校が夏休みの間、なぜか一週間バイトに行くことになっていて、バイト先は、以前勤めていた東京の出版社です。

ところがバイトの出社時刻はすでに過ぎていて遅刻決定で、

 

「ああどうしよう、間に合わない。

 とりあえず電話して謝らなくちゃ。あああああ!」

 

超テンパって焦っている店長に、実際より老け込んだ母が傍らで、自分の携帯の調子が悪いと訴えます。

「今それどころじゃないんだよ!」とキレる店長に、涙ぐんで悲しい表情をするやけに弱々しい夢の中の母。

そんな母に対して(ああごめんねごめんね……)と思いながらもバイト先の電話番号を調べていると、小学生の2人の息子(なんと夢の中では子持ち!)が庭から葉っぱを持って来ます。

受話器を耳に当てながら、「そんなものテーブルに置かないで。虫付いてないよね?」とイライラと尋ねると、「虫なんていないよー」といたずらっぽく笑います。

店長がその葉っぱをつまんで裏返すと、灰色の巨大な毛虫が付いていて、「ギャーッ!!!!」と大声を上げると同時にバイト先に電話が繋がる、という夢。

 

「ギャーッ!!!!」と叫びながら目覚めました。

なんという悪夢。

よかった、夢で。

ありがとう、現実。

 

でも、現実とかけ離れた、想像したこともない設定の夢を反芻しながら、店長は思いました。

この夢、もしかしたら、もう一つの自分の人生なのではないか?

教育学部出身の店長が教員になる可能性はゼロじゃないし、実家暮らしで子持ちという人生もあったのかも。

 

以前、色々がうまくいかなくてすごく悩んだ時期に、自分の人生を放り出したくなったことがあります。

「安定した職業に就いていれば……」とか、「子供がいたら違ったのかな……」とか、さんざん後悔して。

経済的に苦しくて、独り暮らしの孤独感でいっぱいだったからです。

夢の中の自分は、仕事と子供に恵まれて、その両方を手にしていました。

さらに年老いた親と同居で実家暮らし。

たしかに、そういう人生も幸せなのかもしれない。

 

だけど……。

夢の中の私、バタバタしててイライラしてて余裕が無くて、全然楽しそうじゃなかったなあ。

なんだか母も元気がなかったし。

それに、夢の中では、café中寿美は存在しません。

ということは、飯綱高原に暮らして店を始めてから出会った人達の、誰とも出会っていないんだ。

それは店長にとって、今となっては受け入れがたい人生です。

まあ、「向こうの人生」の店長も、きっと「こちらの人生」なんて考えられないって思うんだろうけど。

 

とにもかくにも、「こちらの人生」を歩む店長、夢から覚めて、つくづく「今の人生、放り出さなくて本当に良かった」と安堵した次第。

いつかこの人生を終える時にも、同じように思えたら最高だなあと思う47歳の春です。

 

 

 

 

 

author:中寿美, category:店長のひとりごと, 08:41
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蕎麦屋のビジネスマン

お蕎麦屋さんで一人ランチをした時のこと。

店長のすぐ後ろのテーブルに、グループのお客様がやってきました。

背を向けていたので、どんな人たちなのか一切わからなかったのですが、会話の様子からどうやら4名のビジネスマンの模様。

 

A(年配):「イヤイヤイヤ〜、今日は本当にありがとうございました。

     イヤさすがです、スズキ(仮名)さんのお話。

     目からウロコといいますか、長野ではなかなかねぇ……。

     イヤイヤ〜、大変勉強になりました」

スズキ氏(30代):「(謙遜せず)ま、色々大変かもしれませんが、ご参考になれば。

         さて、信州と言えば蕎麦ですよね! 楽しみです(キリッ)」

B(30代):「でも東京も蕎麦は有名ですよね。江戸っ子の粋で」

スズキ氏:「ええまあ、でも一口に江戸っ子って言っても、今はいろいろですね」

A:「スズキさんは、東京のどちらで?」

スズキ氏:「渋谷です」

一同:「おおおおー! 渋谷!」

 

長野の人間を圧倒する「渋谷」の威力、凄まじいわーと店長が聞き入っていると、上司と思われる年配Aが「おい、ナカザワ(仮名)君、注文を」と指示し、Bとは違う、もっと若い声が店員さんにたどたどしくオーダーする声が聞こえてきました。

どうやら、4名の内訳は、「地元企業のサラリーマン(上司A・中堅B・新人ナカザワ)+東京から招いた若きコンサルタント=スズキ氏」といった感じ。

社内セミナーでも開催したのでしょうか。

 

店長の背後で、東京と長野を比較しながらの様々なトークが繰り広げられていきます。

ひたすらスズキ氏を持ち上げる卑屈なまでの上司A、かすかなライバル心を抱えながら話題提供する中堅B、一切しゃべらないと決めたのかそれともしゃべれないのか、発言が皆無の新人ナカザワ。

スズキ氏は声が通り、話し方も意見もしっかりとしていて有能そうだけれども、チラチラと覗く上から目線の態度が鼻につきます。

いるいる、こういうヒト。

頭はキレるのかもしれないけど、なんか好きになれないんだよね。きっと服装もパリッとイケてるスーツで決めているに違いない。そして間違いなく靴の先が尖っているはず。

 

お蕎麦を啜りながら4名のビジネスマンの姿を思い浮かべ、背後のテーブルの会話に全力で聞き耳を立てる店長。

背を向けているとはいえ、声の位置から上座にスズキ氏がいるのがわかります。

店長の想像が、どれだけ実像と合っているのか、早く答え合わせがしたい。

特に気になるのはスズキ氏。

足元まで見えるかどうか。

 

そしてついに蕎麦を食べ終えた店長は席を立ち、会計に向かう間にさりげなく背後のテーブルへ目を遣りました。

地元サラリーマンは想像にたがわぬ無個性のスーツを着た3人組。

ほうらやっぱり。

だがしかし! 残りの一人が異彩を放っています。

なんと、上座に座るスズキ氏のいで立ちは、坊主頭にゴールドのスカジャン、ダボダボジャージにスニーカー。

え? ヤンキー? チンピラ?

え? え? どういう集まり?

 

謎を抱えて蕎麦屋を後にする店長でした。

author:中寿美, category:店長のひとりごと, 08:12
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お彼岸の実家

祖母が亡くなって今月でちょうど10年。

お彼岸だったので、実家に帰省しました。

 

実家にて、仕事で遅れる姉を待ちながら先に夕食を始めていたのですが、そろそろ着く頃という時刻になると、父がソワソワし出します。

焼酎ですっかり出来上がった赤い顔をして、

「もう着くんじゃないか?」

「オレは待つのがホント嫌なの」

「なぁにをしとるんだぁ?」

と言いながら、ついには席を立ち玄関へ向かいます。

帰省する娘を待ちきれず、たびたび玄関の外にまで出て待っていたりする父。

 

「お父さんが外で待っていたって、お姉ちゃんが早く着く訳じゃないよー」

 

と言いながらビールを飲む店長に、「お父さん、いつもあんな感じ」と笑う母。

 

母:「『待つのが嫌い』なんて言って、これまでずっと人を待たせてきたくせに」

店長:「だよねー。いつもお母さんが、ご飯作ってお父さんの帰り待ってたね」

母:「そうだよ。『帰るコール』なんてなくても、いつも待ってたよー」

店長:「すごいね。お母さんたちの時代は、それが当たり前だったんだー」

母:「うーん、でもねぇ……一番待ってたのは、おばあちゃんだね……。

   家族の帰りをいつも家にいて待っていたし、おじいちゃんのことも待ったし。

   『私は待つ人生のような気がするよ』って自分で言ってたことあるけど」

 

……そうか。

祖父は出征した4ヵ月後に戦死したのに、9年も生死が不明でした。

終戦後、10年近くも祖父を待ち続けた祖母。

ビール片手にしみじみと仏壇を眺めていると、「ウヒョーッ、寒いッ!」と父が戻ってきました。

 

「上着も着ないで」「ヒートショックで倒れる」「酔っ払ってるのに」と怒涛の小言を母が浴びせる中、再び焼酎を飲み始める父。

そしてすぐに、「ただいま〜」と姉が玄関から入ってくる声。

 

おばあちゃん、みんな帰って来ましたよ。

 

 

author:中寿美, category:店長のひとりごと, 10:45
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解説いろいろ

オリンピックが終わってしばらく経ちますが、しつこくフィギュアスケートネタです。すみません。

 

平昌オリンピック期間中、店の営業日と重ならずにテレビの前でフィギュアスケート生放送を視聴できたのは、女子ショートプログラムだけでした。

その日、同じくフィギュアスケートファンである友人と電話をしながら、嬉々としてテレビ観戦した店長。

 

私たち二人とも、フィギュアの経験なんてまるで無しのド素人なのですが、演技を見ながら、「今の回転、足りてないかも!」とか「ジャンプ前の構えが長い」とか、「繋ぎが濃い」だの「薄い」だの、「レベル取れてるか微妙」等の技術的なコメントに加えて、「去年に比べてエレガントな滑りになった」などと各選手の変化にも言及し、いっぱしの解説者気分で喋りまくります。

一方テレビでは、「ダブルアクセル。降りた後の流れもありました」と淡々とジャンプ名を繰り返す解説の八木沼純子さん。

そのたびに我々、「見ればわかる!」「ジャンプの種類言うだけなら、私たちにもできる」などとエラそうなことまで言い出す始末。

調子に乗って本当にすみません。

 

でも店長が言いました。

 

店長:「だけどさ、じゅんじゅん(八木沼さんの愛称)にあって、私たちに無い圧倒的なものがあるんだよ」

友人:「何よ?!」

店長:「じゅんじゅんは、キレイ」

友人:「……そうだね。確かに……文句無し」

 

キレイは最強。

いやいや、それももちろんそうだけど、それ以前に私たち、フィギュアスケート経験ゼロですから。

ちょっと詳しいからって、知ったかぶりして解説にチャチャを入れるなんて、おこがましいにもほどがあります。

マニアはこれだから嫌われます。

 

でもおこがましさついでに言ってしまうと、荒川静香さんの解説も独特。

以前、彼女が解説で、

「宇野昌磨選手というのは、もう本当に小さい人間の頃から、非常に表現力というような面で、とても長けている、そういった雰囲気のあるような、そんな選手なのではないでしょうか……」

と「いうようなこと」を言っているのを聞いた時には、いつものように『という』『ような』およびその他の不要語を片っ端から赤線で削除したい衝動にかられたけれども、さすがに「『小さい人間の頃』? 『子供の頃』でよくない?」と声に出してツッコんでしまったことがあります。

 

どの解説も、個性があってそれぞれの魅力があります。

大好きなフィギュアスケートの選手たちが、引退後も解説者として活躍されているのを見るのは、嬉しい限り。

スケートの演技以上に、解説からその人柄が伝わる、ということも多々あります。

 

本田武史さんは解説者になったばかりの頃こそ、いるのかどうかわからないほど無言だったけれど、今や的確で端的でわかりやすい解説をされます。

織田信成さんなんて最初からそうで、ルールや技術のタイムリーな解説は、選手の頃より存在感を感じるほど。

鈴木明子さんや小塚崇彦さんの解説も聞き易いです。

安藤美姫さんや町田樹さんの解説にも、選手とスケートに対する愛が感じられて好感が持てます。

村上佳菜子さんもすごく頑張っていてこれからが楽しみ。

 

選手時代とはまた別の魅力が発見できるので、競技と併せて、解説も楽しんでいる店長です。

author:中寿美, category:店長のひとりごと, 13:24
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汚い話ですみません

先日、友人と2人でランチに行きました。

 

席について、さっそく喋り出す我々。

するとたまたま、匂いの話題になりました。

『としごろの娘が父親を「臭い」と言い出すのは、生物学的にも理にかなっているらしい』という話。

 

店長:「自分の遺伝子と近いと、より『臭い』と感じて避けるから、多様性に繋がるみたいで」

友人:「加齢臭って誰でも臭いに違いないけど」

店長:「でもその臭さを母親が娘ほど感じてなさそうなのは、

    夫は遺伝子的に近くないから」

友人:「そうか、娘は父と遺伝子的に近いけど、妻は全然近くないからね」

店長:「たしかに、夫の匂いって気になりませんね。

    まあ、自分の匂いもわかんないんですけど」

 

という調子で、『匂いの話』で盛り上がっていたところ、隣のテーブルで食事中のカップルの女性に突然遮られました。

 

「あの、すみません。食事中なんで!」

 

「あ! すみませんっ」と恐縮してすぐに謝った店長たち。

「ずっと我慢してたんですけど」と畳みかける女性に、「あ、ホントそうですよね、すみませんでした……」と平謝りの我々。

たしかにたしかに。配慮に欠けました。本当にすみません。

しかも、店長、楽しくてテンションが上がっていたので、もしかしたら自分が思う以上に声が大きかったのかも。反省。

隣のテーブルの男女は、ほぼ会話なく静かに食事中で、完全に店長達の話がストレートに耳に入る状態だった様子。

無口な男女が、『匂い(しかも臭い系)の話』をBGMに食事することになっていたなんて、大変申し訳ありません。

 

でも、けっこう盛り上がっていた話題の停止を余儀なくされて、若干シラケてしばし黙り込む我々。

えーと、何を話そうかな……。

 

すると、友人が唐突に話題を提供しました。

 

友人:「今年、雪少ないよね!」

 

そそそそうそう、こういう時は気候の話がいちばん無難。

 

店長:「うんうん、そうだね! 雪は少ないけど、でも寒いよね!」

友人:「そう! 寒いよね! うち、それで水道凍っちゃって」

店長:「えーそれは大変。キッチンの水道?」

友人:「キッチンもそうなんだけど、困ったのはトイレで」

店長:「……」(あ、まずい……)

友人:「トイレが凍っちゃって、流れないの……」(あ、まずい……と気づく表情)

 

またしばらく沈黙が続く私たち。

 

トイレがどう流れないのか、店長としては聞きたいところだし、多分友人のその手の話は面白いはず。

さらに極寒の公衆トイレで自分が体験したエピソードも披露したかったけれど、今はできない。

すごく面白い話になること請け合いだけど、今はできない。絶対に!

だけど、何か話し始めなければ不自然で、逆に注意した女性に気を遣わせてしまう。

 

沈黙しながら、「何か話さないと!」と焦るけれども、考えれば考えるほど、どんな話も汚くなりそう。

すると、目の前の友人が諦めたように言いました。

 

「結局ね、私たちの話はどうしたって汚い話になるんだよ」。

 

いやもうホントにその通り。

笑いを堪えきれない店長。

汚い話、意外に深くて考えさせられるし、面白い。

だけど、食事中はダメです。状況をわきまえないといけません。

周囲にどんな繊細な人がいるのか計り知れないのです。

配慮って大切。

我々の話題を強制終了させたその女性が、テーブル席に座ったまま携帯電話で豪快に通話する姿を思い出しながら、いろいろ気をつけようと思った店長です。

 

 

 

 

 

 

author:中寿美, category:店長のひとりごと, 09:27
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店長、「宇野昌磨」を語る

カフェのブログなのに、関係ないことばかり書いていて大変恐縮ですが、フィギュアスケートネタが続きます。

スケートの技術的な凄さはもうあらゆるところで語りつくされていると思うので、それ以外のこと。

 

五輪で銀メダルに輝いた宇野昌磨選手の天然ぶり、ついに世界中が発見したようです。

インタビューでの受け答えは独特で、世間が求める興奮とか歓喜とか感涙とか、苦労話も感動秘話も、彼の口から提供されることはありません。

彼は、聞かれたことに対して自分がその時思ったことを、飾らずそのまま答えます。

そしてその言葉が、店長の心に響きます。

 

思い出すのは、3年前のお正月のインタビュー。

まだ彼がジュニア選手で、この年の春からシニアへ上がる直前の17歳時のコメントです。

年頃の若者らしい発言を引き出そうと質問された、お正月定番の「お年玉で欲しい物は?」という問いに、当時の彼は、はにかみながらこう答えました。

 

「欲しい物……、欲しい物って今は本当に何もないんです。

 ……ただ、シニアで闘える力が欲しいです」

 

小学生でゾクッとするほどの表現力(当時店長は「気味が悪いほど魅せる小学生、出てきた」と思いました)で注目されながら、3A習得に苦しみ、トップレベルの選手との圧倒的な差に苦しんでいたに違いない宇野昌磨の中学高校時代。

世界レベルの男子選手としてはかなり遅れて3Aを習得し、さらに4回転ジャンプを装備したこのシーズンの彼にとって、何より欲しいものは、これから飛び込むシニアで闘える力でした。

 

そしてデビューしたシニアの国際大会では、試合前の6分間練習でジャンプしようとするたびに、海外のベテラン選手に進路を遮られるという洗礼、いやアクシデントもあったけれど、そんな時でも笑顔だった宇野昌磨。コーチだって「よくあること」と笑顔。

 

シニアで表彰台の常連になっても、インタビューでは他選手を尊敬し、称える発言がとても多いです。

いつだって自分に何が足りないかを考え、他選手の良い部分を吸収すべく研究しているのでしょう。

今回の五輪でも、「今大会で一番印象に残っていることは何か」と聞かれて、「ネイサン・チェン選手のフリー。良くなかったショートの後、素晴らしいフリー演技ができたことが嬉しかった」と即答していたことが、宇野昌磨らしさを物語っていると思います。

海外のメディアから、「ネイサン選手のフリーに驚いたか?」と聞かれた時には、

「いいえ、彼の練習を見ていたらフリーの演技に驚くのではなく、ショートの方に驚きます。それくらい練習ではいつも成功しています」

と答える素晴らしさ。

 

試合の時は、なるべく他の選手の演技を見るようにしているらしいです。

たいていの選手が、自分に集中するためにあえて見ないようにする中で。

昨年の世界選手権でその理由を問われ、「やっぱり上手い選手の演技は見たいじゃないですか」と答え、今回の五輪でも彼は同じ質問にこう答えました。

 

「みんなの演技を見ると楽しいなって気づいたのと、自分の演技が始まるまで暇なので」

 

試合前のルーティンもなく、ゲンを担ぐようなこともしない、だから何かに囚われることがない。

これらの言動を、素でできる強さに圧倒されます。

 

「五輪が特別だと感じない」のは、これまでずっと「五輪シーズンだからって、特にその試合だけを意識してない」と言ってきたからその通りだろうし、どの試合も毎回、「自分のその時の課題をクリアしたい」から、それぞれの試合に向けて練習し、その「練習してきたことが何も出せなかった」なら涙を流して悔しがり、発揮できたならば「これまでの練習が無駄ではなかったので満足」と笑顔で終われるのです。

そして、「誰にも負けたくない」し、「自分に一番負けたくない」。

 

去年、何かの番組で占い師に「心は60歳」と言われていた宇野昌磨。

可愛らしい外見と天然な言動に惑わされがちですが、実は悟りに近い精神があるのかもしれません。

 

author:中寿美, category:店長のひとりごと, 16:18
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営業してました

オリンピックフィギュアスケート男子フリーの生中継の日。

中寿美は、営業しておりました。

でも、外は吹雪で、お昼過ぎまで見事にお客様がいらっしゃいませんでした。

 

そこで、誰もいない店内で独り、ネットのライブストリーミングでオリンピック中継をLIVE観戦することに。

後でフィギュアスケートオタクの友人と語り合う時のために、映像を見ながら演技内容をメモるというマニアックな行為をしていた店長。

 

P1015074.JPG

 

けれども、さすがに最終グループを迎える頃にはお客様がご来店。

映像を見るのはキッパリと諦め、結果を見ることも控え、お客様対応に専念いたしました。

「閉店後に、じっくりゆっくり録画を見るんだ。ニュースは一切耳に入れず、生観戦しているつもりで、手に汗握って見るんだ」

そう思いながら、営業していた店長。

 

すると、実家の母から電話が入りました。

店長が電話に出ると、母がいきなり言いました。

 

「良かったねー!! おめでとうっ!! 感動したよぅ!」

 

やはりフィギュアスケートファンである母の興奮した声。

「いや、見てない見てない。今、お客様来てる」

と小声で言う店長に、

「え? お店、やってるの?」

と母。

受話器を耳に当てたまま慌てて奥の住居スペースに走ると、

録画でONになってしまっていたテレビ画面に『金!羽生 銀!宇野』の文字。

……見てしまったー。

 

でもまあ、良かった!

金銀が逆の可能性もよぎったけれど、そうはいっても理想的なワンツーフィニッシュ。

祝杯用に買っておいたいつもより高いワインを飲みながら、出場した選手たちの演技を振り返り、大いに楽しんだ夜でした。

 

 

author:中寿美, category:店長のひとりごと, 19:52
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オリンピックを見て思う

ただいま平昌冬季オリンピック真っ最中。

いろんな冬のスポーツの生中継を楽しめる絶好の機会です。

 

さて、そんな世界中のトップアスリートを見ていると、2つのタイプの選手にどうしても注目してしまいます。

店長の勝手な印象ですが、「楽しそうな選手」と、「悲壮感漂う選手」です。

 

もちろん、どの選手も身を削るような努力をして、挫折や困難を乗り越え、苦しい思いをさんざん経験してオリンピックの舞台に立ち、プレッシャーや緊張やあらゆるストレスと戦いながら、その時を迎えているに違いありません。

楽しい思いも悲壮感も、どの選手も両方抱えて、大舞台に立っているはず。

 

でも、そんな中でも、その競技ができることが嬉しくて、心から楽しい様子がにじみ出る選手がいます。

緊張の中でも適度にリラックスしていて、今自分がなんのためにその場に立っているのか、わかっている感じ。

表情も言動も自然体な「楽しそうな選手」。

結果がどうであれ、そんな選手は見ている方も幸せな気持ちになります。

その才能を授かって努力して、それを発揮できる舞台に立つ喜びを感じているのが伝わります。

「ああ、このスポーツができて、本当に嬉しいんだろうなあ」と、つい応援したくなります。

 

一方、「悲壮感漂う選手」というのは、もう身を削るどころか命を削っているんじゃないかと思うぐらいの、巨大なものを背負っている感がハンパない選手です。

勝利に懸ける執念に憑りつかれたような鬼気迫るものを感じます。

そういう選手も、ドラマティックで大いに魅力的。でも見ているのが辛くなる時も。

にもかかわらず、神がかったそのカリスマ性にはどうにも惹かれるし、目が離せなくなります。

 

結局、どちらのタイプの選手も応援しちゃう店長。

そして、スポーツに人生を重ねて観戦しがちな店長は、果たして自分は「どちらの選手のように人生を生きたいか」と考えてしまいます。

やっぱり、「楽しそうに」生きたいなあ。

勝ち負けはスポーツ選手に任せて、「今ある喜び」を感じながら、生きていけたらいいなあと思う47歳の冬です。

 

 

 

 

 

author:中寿美, category:店長のひとりごと, 08:06
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不労所得を考える

友人と、不労所得の話になったことがあります。

不動産収入とか、遺産とか、株とか、いわゆる不労所得で暮らすことについて、どう思うか。

そんなの、羨ましいに決まっています。

「自ら働かなくてもお金が入ってくるなんて、天国じゃない?」と思います。

 

そして店長は想像します。

もし、どこかの大金持ちが「中寿美さんへ遺しておくれ」なんて言って、莫大な財産を店長に託してくれたら?

café中寿美を、続けるだろうか?

経費削減と売上アップの間で頭を悩ませ、工夫して努力するだろうか?

時間と手間をかけて、自らの手作りメニューにこだわるだろうか?

いやしない!

大金持ちだったら、チマチマした節約や売上アップのためのアイデアをひねり出そうという努力は、店長、絶対にしない自信がある。

いかにバランスを取って利益を絞り出すかなんて考えず、潤沢な資金力を駆使して、手間暇かけるよりも人とお金を使い、誰かに任せて自分は贅沢しちゃいそう。

「店をやれる幸せ」を忘れて、全然つまらないやり方になる可能性大。

そこには必死さが無くて、切実さも無くて、したがって返ってくる達成感も喜びも全く別のものになるのです。

 

さらに、大金持ちだったら、家事もやらなくなること必至。

節約と健康を考えた弁当作りも、日々の食事も掃除洗濯も、すべてお金で解決。

頭と体を使う家事という作業を、喜んで放棄すること間違いなし。

そうして、一日の時間と冷蔵庫の中身を、無駄なく効率よく使った時の快感とか、限られた食材でなかなか美味しい料理が手際よくできた時の秘かな感動も失うのです。

 

基本が怠け者の店長、不労収入など得たら、絶対に堕落する自信があります。

でも、世の中には、働かなくても一生食うに困らない収入がありながら、より大きな事業を立ち上げて社会貢献したり、工夫と努力を惜しまずに、世のため人のために尽くす人生を送る人もいます。

売れに売れても作品を作り続ける作家やミュージシャンもいます。

尊敬しちゃう。

そういう殊勝な人に、お金が巡るようになっているんだろうな。

働かなくてもお金が入ったら、ただちに怠ける気満々な店長のような人間には、巡ってこない仕組みになっているんだな、おそらく。

その方が、きっと幸せだから。

じゃあ、仕方ないか。

 

確定申告時期になると、とくにこういうことを考えてしまう店長です。

 

 

 

author:中寿美, category:店長のひとりごと, 11:36
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