先週末の営業を臨時休業いたしまして、大変申し訳ありませんでした。
半年近く前から予定していたのですが、実は、念願のフィギュアスケート世界選手権の生観戦に行っておりました。
今年は日本開催で、会場はさいたまスーパーアリーナだったので、埼玉在住のフィギュアスケートファンの友人と2人で行ってきたのです。しかも2日間。
1日目はアイスダンスRD(リズムダンス)・女子フリー。
2日目はアイスダンスFD(フリーダンス)・男子フリー。
両日ともに午前中から会場に入ることができて、公式練習の一部から見ることができます。
店長、もう長いことフィギュアスケートファンですが、生観戦は長野市内で毎年行われている中学生の全国大会のみで、ワールドトップクラスの選手の演技は、もっぱらテレビやネットでした。
でも、今年は思い切ってチケットを申し込んだら、当たった!
思わぬ出費に恐れおののいたけれど、最高の2日間でした。
競技の結果についてはフィギュアスケートに興味のある方はご存知だと思うし、興味のない方にとっては関係ないと思うのでここには詳しく書きません(最後にちょっと書きました)。
主に、はじめてフィギュアスケートの最高峰の大会を生観戦した会場の雰囲気を記したいと思います。
まず座席の埋まり具合です。
チケットが取れないと聞いていたフィギュアスケートの大会ですが、初めてのチケット申し込みで当たったので、もしかして今年はあまりチケットが売れていないのかな、と思ったのですが、全然違いましたよ。
店長は午前中の公式練習から現地で観ていたのですが、さすがに1日目の公式練習では座席は半分くらい空いていました。平日だったのもありますかね。
でもアイスダンスの競技が始まると徐々に席が埋まっていき、夕方から始まる女子フリーの頃には関係者席以外はほぼ満席に。
2日目にいたっては、公式練習の時点ですでに8割がた席は埋まっていて、アイスダンスの競技が始まるとほぼ満席、その後も競技の合間にどんどん人が入ってきて、男子フリーが始まる時点で最上階のめっちゃ高い場所の席までみっちり埋まり、1日目にはガラガラだった関係者席もぎゅうぎゅう満席の超満員。
すり鉢状に座席が並ぶ会場の天井ギリギリまで人で埋まっているその光景は、圧巻というか、壮観でした。
4年前にも同じ会場で同じ大会を生観戦した同行の友人は、「4年前はこんなに埋まっていなかった。男子フリーの最終グループまで空席が目立つ状態。せっかくアイスダンスも見られるチケットなのにかなり席が空いていた」と言っていました。
そして、その超満席の会場だけでもすごい景色なのですが、観客自体がもうすごいんです。
当然ながら会場ではテレビと違って実況解説もなく、技の種類や点数の速報値なんかどこにも表示されません。
それなのに、6分間練習中ですら大技が決まれば大拍手、しかも日本人選手ではない外国人選手であっても、です。
ワールドクラスの大会の会場なら当たり前のことかもしれません。でも、はじめて生でそのプロ観客魂を見た店長は、「同じような、いや自分よりすごいファンがこんなにたくさん集まっているんだ……!」と感激しました。
今季で引退する海外選手にも、観客たちは当然のようにそれをわかっているので、何度も惜しみない拍手を送ります。
そうだよね、スポーツファンってこういうことだよね、と改めて思いました。
そしてさらに感動したのは、素晴らしい演技をした選手には、どの国の選手だとしてもスタンディングオベーションと拍手、そして会場中にはためくその選手の国の国旗。
多くの日本の観客が、何枚もいろんな種類の国旗を持参していて、各国の選手の演技が終わると同時にそれを掲げるのです。
こんな観客の前で滑る世界各国から選ばれたトップ選手たちは、どんなに気持ちがいいだろう、どれほど嬉しいだろう、と思いました。
そして選手たちはそれに応えるように、本当に素晴らしい演技の連続でした。
アイスダンスも女子フリーも男子フリーも、ノーミス&スタオベの嵐で、「え、世界選手権って、こんなに神演技が続くものだっけ?」と思うほどに、力を出し切る選手たち。
店長もひざ掛けが床に落ちるのも厭わず、毎回スタオベを繰り返していました。
4年前も同じ会場で同じ大会を生観戦した友人は言っていました。
「4年前はこうじゃなかった。こんなに各国の国旗がはためいていなかったし、観客の様子もまったく違った」。
さて、選手の印象についても少し触れます。
これでも店長的には「少し」です。
アイスダンスの村元哉中・高橋大輔組の念願のノーミス演技を生で観ることができて感激です。会場は興奮のるつぼ。
やっぱり、村元選手は美しく、高橋大輔選手のカリスマ性はすごかったです。店長の周囲の観客のほとんどが泣いていました。
アイスダンス優勝のアメリカのチョクベイ組はさすがでした。円熟味が素晴らしかったです。
ジャンプがないアイスダンスは滑りの質が重要で、ベテランカップルの上手さに唸ります。
女子優勝の最終滑走、坂本花織選手は、滑り出したとたんに同行した友人とともに「……全然違う!」と思わず目を見合わせて感嘆の声をあげてしまうほど、それまで滑った他選手とは別格でした。
とにかくそのスピード、流れ、エッジの深さ、滑らかさ、ジャンプの大きさ、他選手とは違う段階にいる感じです。
一瞬で一目瞭然。
坂本花織選手こそ、ぜひとも生で観てそのすごさを実感してほしいと思う選手です。
そして大会を締めくくる最終滑走の男子優勝の宇野昌磨選手。
怪我の影響で本来の滑りではなかったけれど、それでもやはりこちらも別格でした。
会場全体が午前の公式練習での宇野選手のジャンプ不調を知っていて、それでも成功を熱望し、固唾をのんで演技を見守り、そして演技が終わる前にすでに皆が優勝を確信していました。たとえミスがあっても、です。
点数ボードなど表示されなくても、それがわかる観客なのです。本当に素晴らしい。
演技が終わって宇野選手が倒れこんだ瞬間は、超満員の会場全体が歓喜の渦に包まれました。ものすごい瞬間でした。
そのわりに、演技後リンクでの宇野選手の挨拶があっさりしていたのも彼らしくて印象的。
そして点数が出て優勝が決まった瞬間、わたしは隣の席の友人と抱き合い、その場に居られる幸せに浸りました。
各カテゴリの優勝選手たちは、2位以下の選手がノーミスの素晴らしい演技を続けた後に最終滑走者としてリンクに入る、という最高の舞台に満を持して登場するといった雰囲気でした。
会場はもう大興奮です。
そして、どのカテゴリの優勝選手もミスがありました。それでも、納得の優勝。
文句なしの結果で、そして文句なしの素晴らしい大会だったと思います。
ずっと心の中で選手たちに「ありがとう」と言いながら観戦してきました。
しばらく熱狂冷めやらずの店長でしたが、今週末から頭を切り替えて、フル営業をスタートさせたいと思います。