実家から衣類を運ぶ際、母が衣装ケースに入れてくれました。
祖母の実家が洋装店をやっていて、そのお店の懐かしい箱でした。
中には薄紙のカバーがついています。
注目すべきは、しみが付いた際の対処法「汚点抜き法」が記された表。
「汚点の種類」として、筆記インキ・鉄錆・黴・果実汁……などなど。
「汚点になる主成分」として、鉄分・除き難い色素・酸分……。
そして、それら汚点の種類と主成分に応じた「汚点抜き剤」を線で結んだ素晴らしい表。
これは大変便利で重宝。
永久保存に決定、と感心して眺めます。
この場合「汚点」は「しみ」なのだけれども、
勝手に脳内で「汚点」=「人生の汚点」と変換してしまう店長。
「人生の汚点」にも、「汚点抜き法」はあるのだろうか。
ぜひとも知りたい。
人生の「汚点の種類」は、そりゃ色々ありますな。
人間関係・いろんな失敗・挫折……小さなことから大きな問題まで、数限りなく。
ただ、本人の心の持ちようで、必ずしも汚点になるとは限らない。
問題は、人生の「汚点になる主成分」。
これを、つい、
「アイツが悪い」
「お金さえあれば」
「運が良ければ」
なんて、自分以外のせいにしてしまいがち。
店長なんてもう、さんざん世間が悪いと思っちゃったもんね。
そうすると、汚点はますます範囲を拡大するわけです。
「汚点になる主成分」は、きっと、
自分のエゴ・執着・嘘・怠慢・臆病・虚栄・慢心・依存……などなどなど。
つまり、自分自身の弱さ。
いやー、人生の「汚点抜き法」あったらなあ、と改めて表をじっと眺める店長。
そして、目に入りました。
「ついたら直ぐに」。
そうだなあ。
人生の汚点も、ついたら直ぐに対処すべし。
「反省」という「汚点抜き剤」は、意外に効果があるかも。
それでも残ってしまった汚点こそ、自分の一部と心得て、付き合っていくしかなさそうです。
キズや汚れがあることで、他人に優しくなれるもの。
「しみひとつない人生」なんて、案外味気ないかもしれません。