隣に住む姉夫婦が飼っているミニチュアシュナウザーの「ぎん」は、散歩に連れて行かないと、トイレをしません。
トイレの躾に、失敗しちゃったんです。
だから、飼い主が留守の間は、トイレを我慢しているぎん。
そこで、心優しい店長は我慢するぎんが不憫で、トイレ係をすることにしました。
店長が隣家のドアを開けると、「待ってました!」とばかりに走って出てくるぎん。
外に連れ出すと、すぐに用を足すので、散歩といってもほんの数分です。
店長が手を離せず、たまたま在宅していた助っ人さんにその役を頼んだことがあります。
ところが、すぐに戻ってきた助っ人さん。
彼が玄関でいくらぎんを呼んでも、「ウォンウォン(結構ですー)」と聞こえるばかりで、全然出てこないらしいのです。
おかしいなあ、と今度は店長も一緒に行って、ぎんを呼んでみました。
するといつものように、スタスタと黙ってすぐ出てくるぎん。
そして、店長の後ろに控える助っ人さんに気付いた瞬間、慌てて店長の陰に隠れ、足にすがり付きました。
「ずいぶん嫌われたもんだね〜(笑)!」
と、勝ち誇ったように、リードを助っ人さんに手渡す店長。
店に戻る店長に追いすがり、助っ人さんにリードをぐっと引っ張られるぎん。
なかなか動かずに、店長をじっと見つめている。
そんなに店長の方がいいのかー。愛いやつじゃのう
長い散歩から戻った助っ人さんによると、かなりの距離を歩くまでトイレを済ませなかったとのこと。
店長の時は、すぐに済ませてくれるのに。
怖い助っ人さんが担当じゃ、出るものも出ないらしい。
どうやらぎんの中で、店長の地位は確実に上がっているようですよ!
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アタシはミニチュアシュナウザーのぎん。
アタシのトイレ係は、café中寿美の店長って決まってるの。
ところが、この前あの助っ人さんが来たのよ。
トイレにはすごく行きたいけれど、助っ人さんの前でトイレなんかできないわ!
え? なぜかって?
決まってるじゃない! 恥ずかしいからよ。
これでもアタシ、立派な女性よ。
飼い主でもない男性の前で、トイレなんかできるわけないじゃないの。
それなのに店長ときたら、自分の役目を人に任せて、まったくけしからん奴だわ!
でもね、助っ人さんのこと、嫌いってわけじゃないの。
確かに怖いし厳しいけど、殴る蹴るの暴行をするわけじゃないわ。
声が大きくて指示はわかりやすいし、あんなに遊んでくれる人、他にいないもの。
店長との散歩なら、さっさとトイレ済まして終わりだけれど、
助っ人さんとだったら楽しくて、トイレだって我慢して遠くまで散歩しちゃう。
だけどやっぱり、トイレ係は店長ね。
もうすっかり「店長=トイレ」なの。
条件反射ね。「パブロフの犬」よ。
あ、アタシは犬じゃなくてホントは人間だけど。
あらいやだ、店長のこと思い出したらトイレに行きたくなったわ。
店長、早く迎えに来ないかしら。