新しい何かを始める人に
- 2017.10.31 Tuesday
- 11:59
店を始める少し前、飯綱高原のひっそりとした森の中で「喫茶店をやろうと思う!」と、思い切って知人に打ち明けた時、「やめなって。こんな山の中、誰も来ないよ」と言われました。
新しい何かを始めようという時に、悪気はないとわかっていても、ネガティブな助言を受けるのは、そこそこのダメージを受けます。
もちろん、「やめておいたほうがいいよ」「食べて行けるの?」「最初は良くても、続けていくのは厳しいよ」等々、大変ごもっともで、だけど出鼻をくじく言葉を発する人たちは、心配してくれているんです。
新しく何かを始めるということは、当然リスクがあるからです。
口には出さなくても、内心では同じように思う人はかなりいるはずで、だからそういう正直な反応も、しっかり聞くことは重要です。
特に、家族や、信頼できる友人の言葉は、どんなにネガティブでも重く受け止める必要があります。
でも、他人が思いつくリスクは、本人はすでにさんざん考えたはずで、悩んで迷って決意表明しているはずです。
中寿美みたいに小さな店でもそうだったんだから、もっと大きなことをやろうとする人は当然だと思うのです。
だから、店長は誰かの「新しいことを始める」決意を打ち明けられたら、迷わず「いいね!」と賛同することにしています。
そういう前向きな言葉が、自分にとって新しいことに向かうエネルギーになったからです。
確かに、どんなことにも大変なことはあるし、嫌なこともあるし、失敗することもあります。
でも、一大決心をして自分の判断で踏み出したことは、たとえ辛いことがあっても、それ以上に楽しいです。
新しいことを始めようとする時に浴びせられるネガティブな言葉の洗礼は、それでもやろうと思う意志の強さを試されていて、その後の困難を乗り越えるために必要なのです。
「誰も来ないよ」と言われて、それでも店を始めて、はや10年。
「誰も来ない日」は確かにありました。
10年間、約2400営業日のうちの、3日です。
今のところ、「誰か来た日」の圧倒的勝利。
とはいえ、来客ゼロ日が3日だけだからって、大繁盛のウハウハなわけでは決してなく、「本日のお客様、1名様のみ」という日は、10年経った今でも、ある日突然襲ってきて焦ります。
「何かを始める」までには、実は長い長い時間がかかります。
「構想〇年」というように、「やろう!」と思ってからも自分の中で悩んで迷って、そして思い切って人にそれを打ち明けても、実際に行動に移すまでにも時間はかかるものです。
誰かに決意表明をしたけれど、とうとう何も始めなかった、ということもあるかもしれません。
でも、別にそれでもいいと思うんです。
構想年数をひたすら更新し続けることも、それはそれで楽しく素晴らしい時間だから。
店長宅のトイレの格言にもあります。
「夢をもつんだね
夢で終わっても いいじゃないか
人生はそれだけで豊かになる」
というわけで、新しい何かを始めようとする人を、お金は出せないけれども気持ちで応援する店長です。
- 店長のひとりごと
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